豪雪の中、ロンドンに思いをはせる【ロンドン・タウン】ポール・マッカートニー&ウィングス

 昨晩も雪がまたたくさん降った。弘前市は北緯40度、東経140度に位置する。しかし、ロンドンは北緯51度3分、東経0度1分・・・弘前よりも遙か北にある。北海道の札幌市で北緯43度東経141度・・・。

何を言おうとしているかというと、いかにロンドンが寒いかということなんだ。夏場も雨が多くてどんよりとしている。
そんな場所で生まれてくる音楽は(支持される音楽)、どんな特徴があるのだろうか?

よくイギリスのバンドなりアーティストなりに対してブリティッシュならではの陰影のあるサウンドとか湿り気のあるサウンド・・・などという言葉が使われる。それはたぶん気候や天候が大きく影響しているからなのだと思う。

もう一つは、アメリカ(※又はアメリカの音楽)に対する憧憬の念を露骨に表したサウンド。つまりカントリー、ブルース、R&B、ポップス、などの要素を積極的に取り入れた音楽。アメリカナイズなどといわれるが、ロックン・ロール自体が元々アメリカで生まれた音楽だし、イギリスでロックを始めた者はほぼ100%アメリカの音楽にインスパイアされている。

ただ、いくら巧みにアメリカの音楽を研究しても、どこかイギリス人らしい叙情性が出てしまう。それはマイナスではなく、個性というプラスに働く。つまりブリティッシュ好きにとって魅力的なのはそういう点なのではないだろうか?

そしてその原点となっているのはイギリスという国の天候、気候、各地の風習、文化・・・。それが、ロックを単なる輸入文化で終わらせなかった理由でもあるのではないだろうか?

前置きが長くなったが、今回取り上げる【ロンドンタウン】を聴いていると、ポールの(あるいはデニー・レインの)イギリス人としてのぬぐいきれない土着性がかなりはっきりと現れているように思う。※厳密にいえば周知の通りポールは元々リバフールで育ったので、ロンドン市民でさえない。リバプール気質?

雨ばかりのロンドンの天候にうんざりしてどこか温かいところでのレコーディングをと考えていたところ、デニーが船の上でレコーディングすることを提案。
で、77年5月、西インド諸島のセント・ジョンズ島の港にヨットを停泊させ、そこに機材を持ち込んでレコーディングをスタート。※「サマラ」「エル・トロ」「ワンダーラスト」と計三隻のヨットが使われた。

約一ヶ月のレコーディングの作業後帰国するが、ジミー・マカロック(ギター)とジョー・イングリッシュ(ドラムス)が脱退。ウィングスは【バンド・オン・ザ・ラン】の時と同じく3人に戻ってしまう。

さて、そうした紆余曲折の結果、77年11月にアルバムに先駆けて『マル・オブ・キンタイア』がシングル・リリース。
なんとナンバー1ヒットを獲得。バグパイフ゜をフィーチャーしたその曲は、いかにもイギリス人の郷愁の念を駆り立てるスケールの大きなバラード。西インド諸島から帰ってきてロンドンでレコーディングしたものだ。
 ロンドンを一時期離れることで里心がついたというわけではないだろうが、実にイギリスらしい曲が出来たのが面白い。
この曲以外に、アルバムの中には『ロンドンタウン』『アイム・キャリング』『チルドレン・チルドレン』『ウィズ・ア・リトル・ラック』などイギリスという国を強く意識させる曲が多い。
また、『アイヴ・ハド・イナフ』など初期のウィングスを彷彿とさせるロックン・ロールも有り、3人組に戻ったことも結果悪くなかったかと思わせる。※ベーシックトラックを船上でほぼ完成させていたので、オーバー・ダブは帰国後アビーロードのスタジオで行われたらしい。
『フェイマス・グルーピーズ』なんかのフォーキーな持ち味もイギリス的・・・。

アルバム全体を通して聴くと、決して[ロック色]が強いアルバムではないが、このアルバムについていえばロックどうのこうのというのはあまり重要ではない。※別にフォーク・アルバムでもよかったのだ。
イギリスを離れたところでレコーディングされたとしても。結局のところ自分たちはイギリス人以外の何者でもないということをポール達が実感したことが重要。

ポールの原点ていうのは案外こういうところなのだということを再確認出来たアルバム。因みにタイトルの【ロンドン・タウン】はジョン・レノンの【サムタイムス・イン・ニューヨーク・シティ】を意識したものという説もある。

それにしてもタイトル・トラック『ロンドン・タウン』と先行シングル『マル・オブ・キンタイア』は素晴らしい。
※『デリバー・ユア・チルドレン』はデニー・レインがリード・ボーカルを取る隠れた名曲。



ジョン・レノン・ファンもたまには聴いてあげようよ・・・。



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